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あ行の用語

遺言(いごん)

生きている間に自分の最終意思を示すものです。自分の財産を誰にどのような形で遺すかを死後に伝えることができます。
遺言には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
法律上効力がある遺言内容は、身分・財産・相続に関することです。
遺言書の種類についてはこちらで詳しく解説しています。 ➤ 遺言書は3種類!それぞれの特徴を弁護士が解説します。

遺言検認手続き(いごんけんにんてつづき)

家庭裁判所で相続人立ち合いのもと、裁判官が封をされた遺言書を開封する手続きのことをい言います。
相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。検認が必要な遺言書は、秘密証書遺言と自筆証書遺言(法務局における自筆証書遺言の保管制度を利用したものを除く)の2種類になります。

遺言執行者(いごんしっこうしゃ)

遺言事項に沿って相続の手続きを行う人のことです。誰でもなることができます。
遺言書で指定しておくか、指定されていない場合は、相続人などが家庭裁判所に選任を申し立てることになります。

遺言無効(いごんむこう)

遺言が何らかの理由により効力を持たないことをいいます。
遺言無効の理由(無効事由)としては、日付が明記されていない、署名押印が無いなど形式的な不備がある場合や、記載の内容が曖昧な場合、認知症などにより遺言能力が認められない場合などがあります。
遺言の内容に納得がいかず、遺産分割協議や遺産分割調停で解決しない場合、「遺言無効確認訴訟」を裁判所に対して提起し、裁判官に判決を委ねます。

遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)

被相続人(故人)の財産について、法定相続人全員が民法の定めとは別の配分で遺産を分ける話し合いのことです。でどう分割するか話し合うことです。遺言書があればその遺言書のとおりに分割し、遺言書がなければ法定相続分のとおりに分けるのが原則です。ただし、相続人全員が合意し遺産分割協議が成立すれば、誰がどの資産をどのような割合で遺産分割しても問題はないため、遺産分割方法の一つとして用いられています。

遺産分割調停(いさんぶんかつちょうてい)

家事審判官(裁判官)と調停委員で組織される調停委員会が、中立公正な立場から調整に努め、遺産分割を話し合いで円満に解決できるよう斡旋する手続きです。遺産分割協議の話し合いで決着がつかない場合に申し立てます。
調停委員は、民間から選出された非常勤の裁判所職員です。当事者双方から言い分を平等に聞き、具体的な解決策を提案します。

遺留分(いりゅうぶん)

被相続人の遺産のうち、兄弟姉妹を除く法定相続人に対して保障される、最低限の遺産取得分のことです。
遺留分についてはこちらで詳しく解説しています。 ➤遺留分とは?‐遺留分をもらえる人や計算方法など、わかりやすく解説します

遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)

遺言によって自分の相続分が侵害されている場合、自分の遺留分を取り戻すための手続きです。
遺留分を侵害されたことを知った日から1年以内か、相続があった日から10年以内にしなければなりません。

エンディングノート(えんでぃんぐのーと)

自分に万が一のことがあった場合に備え、予め家族や周りの人に伝えておきたい事を残しておく文書のことをいいます。自分の死後・終末期の取り扱いに関する希望や、財産に関すること等、葬式や遺産相続・納骨等、死後に関することや、医療や介護といった終末期に関すること等も書いておくことができます。
遺言書と異なり法的な効力がない為、形式や書き方にとらわれることなく自由に、何度でも書き直しができます。
しかし、法的な効力のない記載により、遺産分割協議において混乱を招きやすくする恐れがあります。

か行の用語

改製原戸籍(かいせいげんこせき)

略して「はらこせき」とも呼ばれます。法律の改正による編製単位・記載内容の変化、または電算化によって新しく戸籍を作り直したときの、元の戸籍のことです。
戸主制度の廃止の昭和の改正原戸籍と、戸籍の電算化の平成の改正原戸籍とがあります。
現在の戸籍謄本には反映されていない情報を得ることができるので、相続人をもれなく把握するために必要となります。

換価分割(かんかぶんかつ)

換価分割とは相続財産を換金して相続人間で分割することをいいます。
兄と弟が相続人で、遺産は実家と敷地でした。兄と弟は実家と土地を3,000万円で売却し、売却金を1,500万円ずつ分けました。このようなケースが換価分割になります。

寄与分(きよぶん)

被相続人の事業を手伝ったり、財産の維持もしくは増加に貢献したり、療養介護に著しく携わったりした場合に求められる法定相続分以外の取り分のことです。
相続人にのみ認められています。

限定承認(げんていしょうにん)

相続を受けた人が、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐことです。
限定承認を選択する場合は、自己のために相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に、相続人全員が共同で被相続人の住所地の家庭裁判所に申述する必要があります。

公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)

法務大臣から任命された公証人が、依頼に基づき作成する遺言書です。公的な証明のある文書として法的な効力を持ち、内容の証拠能力が高いことが特徴です。
公証人のほかに、2人以上の証人の立ち合いと署名押印が必要となります。

さ行の用語

祭祀財産(さいしざいさん)

神や先祖を祀るための財産が祭祀財産です。お墓や神棚などが代表的な祭祀財産になります。祭祀財産は一般的な相続財産と異なり、相続人で分割する必要のない財産です。祭祀財産については親族や相続人、家族などで話し合い、誰が管理するか決めることになります。故人から指定があった場合は指定に従っても差し支えなく、地域の慣習などがあれば慣習に従って管理者を決めても問題ありません。
祭祀財産は相続税の課税対象になりません。また、祭祀財産は相続財産と切り離されているため、相続放棄をしても祭祀財産の承継は可能です。

事業承継(じぎょうしょうけい)

会社の経営権や資産を、現在の経営者から後継者へと引き継ぐことを意味します。
事業承継の方法は、経営者家族の中から後継者を選ぶ親族内承継、社内の従業員や役員を後継者とする社内承継、他の会社や経営者に会社を売却するM&Aの3種類です。

失踪宣告(しっそうせんこく)

生死不明者に対して、一定の要件を満たした場合、法律上死亡したものとみなす制度です。
失踪には普通失踪(不在者の生死が7年間明らかでないとき)と危難失踪(戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇しその危難が去った後その生死が1年間明らかでないとき)の2種類があり、家庭裁判所に申立てることにより、失踪宣告をすることができます。
失踪宣告がなされると、生死不明者は被相続人となり、相続が開始されます。

自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)

財産目録を除く、遺言の内容すべてを遺言者が自筆で作成する遺言です。遺言者本人の署名押印が必要となります。
財産目録はパソコンでの作成や通帳のコピーを用いるなど、自筆以外の作成方法も認められていますが、遺言者はその目録のページごと(両面にわたる場合は両面)に署名し、印を押します。

借地権(しゃくちけん)

借地権とは、第三者が持っている土地を借りて、その土地に自己所有の建物を建てる権利です。故人が人の土地を借りて自宅を建てていた場合、借地権を相続することになり、借地権に対して相続税が課税されます。
ただし、以下の2つの場合は借地権が発生しません。
先ず駐車場として土地を借りている場合は建物を建てているわけではないので借地権は発生しません。次に土地を無料で借りている場合も借地権が発生しません。賃料が世間相場並みである場合は借地権が発生します。

生前贈与(せいぜんぞうよ)

存命のうちに財産を贈ることを生前贈与といいます。
父親が亡くなり相続が発生し、長男が父親の財産を受け継ぎました。父親は亡くなっているため、このケースは生前贈与ではなく相続です。父親が存命のうち(相続が発生しないうち)に息子に現金や不動産などの財産を贈与することが生前贈与です。相続とは財産の所有者・財産を贈る側が存命かどうかという点で違っています。
贈与は毎年110万円まで非課税です。非課税枠内での贈与や他控除・特例など制度を利用した生前贈与は相続税対策に使われることがあります。

成年後見人(せいねんこうけんにん)

相続人のうち、認知症等の精神上の障害を理由として、ものごとを判断出来る意思能力を欠いている(又は不十分な)人がいる場合に、その相続人の代わりになって、遺産分割協議(や財産の管理)を行う立場の人をいいます。一定範囲の親族から、家庭裁判所に対して申し立てることで、親族の中又は第三者(主に弁護士や司法書士)から家庭裁判所が選任します。

相続放棄(そうぞくほうき)

相続人が被相続人(故人)の権利や義務を一切承継しない選択をすることをいい、被相続人の財産について相続の権利を放棄することです。
被相続人の相続財産の内、債務などのマイナスの財産がプラスの財産を上回っている場合に、家庭裁判所で手続きをして相続放棄をします。
相続人が相続の開始を知った日から3ヶ月以内に申請します。

贈与(ぞうよ)

自分の財産を譲る契約のことをいいます。
贈与をする人が意思表示し、贈与を受ける人が受諾することで贈与契約が成立します。

た行の用語

代襲相続(だいしゅうそうぞく)

本来であれば相続人(財産を受け継ぐ人)になるはずの人が、被相続人(故人)より先に亡くなっている場合、その人の子が代わりに相続することをいいます。

嫡出子(ちゃくしゅつし)

法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子どもです。
戸籍には、夫婦の子として記載されます。

直系尊属(ちょっけいそんぞく)

直系尊属とは自分と血縁のある前の世代のことをいいます。
家系図で自分より縦の上部に書かれている親や祖父母、曾祖父母などが直系尊属です。

直系卑属(ちょっけいひぞく)

自分と血縁のある後の世代のことを直系卑属といいます。
家系図で自分より縦の下部に書かれている子や孫、曾孫などが直系卑属です。

特別受益(とくべつじゅえき)

相続人のうち、特定の相続人が受けた特別な利益のことをいいます。たとえば、父親が亡くなり、兄・弟・妹が相続人だったとします。相続人のうち兄は父親から海外留学のために資金援助を受けていました。これは相続人のうち兄だけが受けた特別な利益、つまり特別受益となります。

は行の用語

配偶者居住権制度(はいぐうしゃきょじゅうけんせいど)

夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が亡くなるまで(又は一定の期間)、無償で自宅に住み続けることができる権利です。
遺言、遺産分割協議、家庭裁判所の審判によって取得することができます。

秘密証書遺言(ひみつしょうしょいごん)

遺言の内容を「秘密」にしたまま、公証人と証人2人以上に遺言書の「存在」の証明をしてもらう遺言書の形式です。完成した秘密証書遺言は、遺言者自身で保管し、公証役場には遺言書を作成したという記録だけが残ります。

不在者財産管理人制度(ふざいしゃざいさんかんりにんせいど)

法定相続人(ほうていそうぞくにん)

「亡くなった人の遺産を相続する人」のことです。
法定相続人になれるのは配偶者子供直系尊属(父母・祖父母など自分より前の世代で、直通する系統の親族)や直系卑属(子・孫など自分より後の世代で、直通する系統の親族)に限られており、その中でも遺産を相続する際の優先順位が定められています。