相続においては、故人(被相続人)の財産(相続財産)をどう分けるか(遺産分割)をめぐって、相続人間で揉めてしまうことが少なくありません。

そして不動産と非上場株式が相続財産に含まれる場合は揉める原因となりやすいのです。

1 不動産

土地・建物の不動産は、よく「一物四価」などと言われるように、一律に価格が定まらず、固定資産税評価額、路線価、公示価格、時価などの複数の価格が存在します。

このうち、遺産分割において基準となる価格は一般的に「時価」と言われていますが、時価を適正に算定するのは容易ではありません。

また、時価は固定資産税評価額よりも4割から6割程度高く算定されることが多いですが、これも一概には言えないケースが多いのです。

例えば、まず地方では、取引事例が少ないエリアなどの場合、固定資産税評価額よりも時価の方が低く算定されることがあります。

また、都市部でも時価と固定資産税の差が小さいケースや、逆に都心部では時価が固定資産税評価額よりはるかに高くなるケースもあります。

加えて、土地上に他人名義の建物が存在する場合や建物を他人に貸し出している場合などは、借地権割合や借家権割合に基づいて割り引いて算定することとなります。

さらに一般的に不動産を巡って、不動産そのものの取得を希望する相続人は評価額を低く主張し、不動産に代えて金銭の取得を希望する相続人は評価額を高く主張する傾向があります。

このように不動産は時価の算定が複雑であり、また、他の相続財産と比較して高額となる場合が多いことから、揉め易いわけです。

2 株式

非上場株式は、株式市場における取引相場がありませんので、価格算定が容易ではありません。

このような非上場会社の価格算定にあたっては4種類の計算方法、すなわち、①類似業種比準方式、②純資産価額方式、③①と②の併用、④配当還元方式と呼ばれるものがあげられています。

そして、会社の規模や保有株式の比率・株主の地位などによってこれらの計算方法を使い分けるものとされています。

しかしながら、上記方法によって導き出された価格は、相続税課税の際に基準となる便宜上の価格にすぎず、遺産分割の際に基準となる価格(時価)そのものとは限りません。

実際のところ、不動産同様、株式の時価算定に統一的な見解はありません。

また、株式は経済的価値のみならず経営権争奪の鍵であるという価値も有しますので、会社を継いでいる・継ぎたいと思う相続人にとっては経済的価値以上の価値を感じていることもあるでしょう。

このように、不動産と非上場株式が相続財産に含まれる場合は、遺産分割の際に揉める原因となりやすいのです。

遺産分割でお困りの際には、当事務所にお早めにご相談ください。

Follow me!

投稿者プロフィール

丸山 純平
丸山 純平代表弁護士
新宿を拠点として、相続案件に多数取り組んでいます。
他士業と連携し、スムーズな解決に尽力いたします。